なぜペットショップで犬・猫を買わないほうがいいのか?

猫との暮らし

「ペットを飼うことになったら、ペットショップではなく譲渡会や保健所・動物愛護センターから引き取るようにして欲しい」
というのを聞いたことはありませんか?
全てのペットショップが悪だとは思いませんが、問題が多々あるのも事実です。
その問題についてこれから少し触れたいと思います。

利益のために繁殖する業者の存在

ペットショップの動物はどこから来るのかご存じでしょうか?
なぜあんなにも都合よく血統書付きの犬や猫が並んでいるのか?
なぜ展示されている大半が子犬や子猫なのか?
それはブリーダーから直接、あるいは卸売り業者やオークションを経由してペットショップが購入しているからです。
ブリーダーとは血統書付きの犬や猫などの動物の繁殖を行い販売する仕事のことで、そのために必要な知識や経験、伴う労力は相当なレベルを要求される職業です。
ですが、無理な交配をさせたり、動物の衛生面や健康面の管理がずさんな悪徳なブリーダーの存在が問題視されています。
いかに利益を生み出すかということを最優先するため、たくさんの犬猫を増やすだけ増やして狭いゲージに押し込めて生活させる。
掃除も満足にせず不衛生な環境で飼うなどの状況を作り出していることも多く、さらにひどい時には面倒を見切れなって飼育を放棄し、動物達を餓死させるということも実際に起きています。
そのため2019年6月に動物愛護管理法の改正が行われさまざま規制が施行されることとなりましたが、すべてのブリーダーが規制を守っているわけでもなく、2023年11月に環境省が、全国およそ1400の犬や猫を繁殖させて販売するブリーダーを調査したところ半数のおよそ700のブリーダーで何らかの法令違反が確認され、各自治体が行政指導を行いました。

ブリーダー調査 出生日の記録ないなど法令違反半数確認 環境省

>NHKニュース

このような悪質な繁殖業者がはびこる原因のひとつとして、日本でブリーダーとして活動する場合、特別な資格は必要はなく、行政に届け出るだけで開業が可能であるということが考えられています。
ペット先進国といわれる欧州では、ブリーダーは専門性の高い職業で仕事をするためには専門の資格を取得する必要があります。また、事業者の違法行為には重い罰則が課されます。
そもそもペット先進国ではペットショップで犬・猫の販売が禁止されている国もあります。
この点から見ても日本はまだまだペット後進国だといわざるをえません。
こうした悪質な繁殖業者の温床となっているのがペットショップであり、ペットショップで買わないことで問題の表面化と悪質業者の蔓延を防ぐというのがひとつの考え方としてあります。

売れ残りが発生すること

ペットショップの展示を見てみると、並んでいるのは子犬・子猫がほとんどです。
それは、ペットを飼う際に、小さい頃から育てたいと考える人が多いからで、とくに生後3ヶ月以内の子犬・子猫の需要が高い傾向にあります。
ペットショップでは、購入希望者が現れた際に、在庫切れを理由に売り逃しをしたくないため、子犬・子猫を多く確保しますが、動物愛護法により「生後56日を過ぎないと展示や販売ができない」と定められているため
結果として需要が高い期間は1ヶ月半となり必ず売れ残ってしまう子がでてしまいます。
では、その売れ残った子はどこにいくのでしょうか?
経営基盤の強い大手ショップならば、
・値下げして引き続き販売する
・社員を対象に里親を募る
・譲渡会や里親を募集する
といった対策をとることもあります。
ですが、そのような対策を取れないペットショップの場合は、
・ブリーダーに返還する
・引き取り業者に有料で引き取ってもらう
といったケースが発生します。
それ自体は決して違法なことでも悪いことでもありません。
問題なのはその引き取り先が悪質であった場合です。
動物愛護法に違反しないよう、狭いケージの中で満足な食事も水も与えず、劣悪な衛生環境のまま放置し続け、衰弱死や病死させる業者がいることが問題なのです。
店頭を埋めるために過剰に繁殖され、売れ残りが発生することで不幸になる動物たちがいるのが現実です。
動物先進国を見習い、日本でもペットショップでの生体販売を見直す必要があるでしょう。

「ならペットショップで買って売れ残る子を減らしたほうがいいんじゃないの?」
と思う方がいるかもしれません。
ですが、それは何の解決にもならないのです。
なぜなら、ペットショップは売れたら売れただけ仕入れを行うからです。
動物先進国を見習い、日本でもペットショップでの生体販売の規制や流通システムの見直しを行う必要があるのでしょう。
繁殖時期や繁殖回数の制限を設けることや、取り扱い業者の責任を増やすといった法改正の検討が愛護団体や専門家からも求められています。
ペットを「物」ではなく「パートナー」として考える社会を築くために、「商品」として販売してるペットショップからは買わないことが大事なのです。

飼い主の審査をせず、誰にでも販売する

ペットショップでは購入者に対して審査がありません。
契約をしてお金を払えば受け取ることが可能です。
ではその飼い主となった方がペット不可の物件に住んでいた場合どうなるのか?
隣人などから大家へ、大家から飼い主へクレームが入り、そのペットを捨てるということが起こります。
その飼い主が継続してペットを育てることができるのか、
ペットが脱走しないよう対策をとっているのか、
飼い主が高齢者であった場合には亡くなったあとのペットの世話をみる人物がいるのか、
捨てられたり、逃げたりして野良として生きることがないよう飼い主の責任能力を経済面・環境面からみる必要があると思います。

譲渡会などでは厳しい審査をしている団体もありますし、1か月ほどトライアル期間をもうけたりして、里親と保護犬・保護猫両方にとって、最善の環境になるように対策をとっています。

まとめ

すべてのペットショップが悪であるとは思っていませんし、ペットショップで買うことを完全に否定するわけでもありません。
ただ、上記で述べた側面があることを知ってほしいし、かわいいからとか癒されるからとか安易な気持ちだけで買うのではなく、家族として共に生きることを考えて飼って欲しいと思います。
血統や年齢にこだわるのではなく本当にあなたを必要としている子と出会えることを願っています。


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