猫エイズ(FIV)とは

知っておいてほしい猫の病気

「猫エイズ」、正式には「猫免疫不全ウイルス感染症」と呼ばれます。猫免疫不全ウイルス(Feline Immunodeficiency Virus:FIV)というウイルスによって引き起こされ、猫が免疫不全になる感染症です。
ヒトのエイズの原因とされるHIVとよく似たウイルス構造を持っており、感染した猫の免疫系統を弱め、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。

症状

猫エイズは感染後すぐに発症するわけではなく、時間が経過するごとに症状も移り変わります。
猫免疫不全ウイルスに感染してから数か月は発熱や下痢など他の病気でも見られる症状が現れます。

その後、数年から10年以上症状がなく、感染していない猫と何ら変わらない様子が続きますが、体内にウイルスを保有して状態になります。

1~2ヶ月程度、全身のリンパ節が腫れてしまう症状が起きますが、外見的に異常が見られないこと多いです。

それから徐々に免疫が低下していき、口内炎や歯肉炎、上部気道感染症などの病気にかかりやすい状態になります。
その中でも、口内炎は猫エイズの症状の中でもよく見られる症状です。
口の中に痛みが生じるため、食べにくそうにする様子が見られます。それが進行すると、よだれの量が増えたり、口臭が感じられます。

そして最終的にエイズ(後天性免疫不全症候群)を発症し、免疫がほとんど働いていない状態になります。
エイズを発症すると、今までの症状に加え、体重の減少、重度の貧血、日和見感染などが発生し、さらに、外傷など傷が著しく治りにくくなるなどの状態もみられます。
免疫がないため、さまざまな病気が発生するリスクがあり、1~3ヶ月に亡くなることが多いです。

予防

感染経路としては、猫とのケンカによる咬傷感染が主に原因として考えられています。
室内飼育を徹底することが最も予防に効果的です。
FIVが陽性の猫と同居している場合は食器やトイレは別々にし、唾液や排泄物などのからの接触感染を防ぐようにします。
また、猫免疫不全ウイルスに対するワクチンが開発されているので、接種を希望する場合はかかりつけの獣医師に相談してみましょう。

治療

体内からウイルスを完全に排除することは難しく、確立された根本的な治療法はいまだありません。
発症した症状に対して治療が行われることになり、口内炎が生じている場合は鎮痛剤を施したり、感染症を防ぐために抗生物質やインターフェロンなどを用いることがあります。

まとめ

猫エイズは猫に感染するウイルス性疾患であり、感染した猫は免疫不全に陥ります。
感染経路は通常咬傷によるものであり、診断は血液検査で行われます。
治療法は限られており、予防が最も重要です。
飼い主は感染猫に対して特別なケアが必要であり、他の猫との交流には慎重になるべきです。
猫エイズについての正確な情報を理解し、獣医と協力して猫の健康を守ることが不可欠です。